熊さんブログ vol.12「ストーリーを考える」

(有)Lプランズ 竹熊です。

前回は計画をストーリー仕立てで考えると分かりやすいと書きましたが、
今回は仕事における「ストーリー」をどのように考えていくかを「弊社の業務」と「たとえ話」を使って書きたいと思います。

また、これは仕事や友達同士、家庭でも「出来事を考える」において重要なことだと思いますので、読んでどう解釈したのかを教えていただければ幸いです。

弊社の業務は主に電気設備の設計図を作ることですので、お客様からのオーダーをしっかり聞いて設計図を作っていくことが基本です。

飲食店を例にとって言えば、お客様は800円のカレーライスが食べたいとオーダーしたのに、ハヤシライスを持ってきたらお客様は納得しませんし、
逆に料理人が気を利かせて1100円のカツカレーを作ってもお客様は納得するかもしれないですが、飲食店としては普通に考えれば赤字です。

当たり前の話ですがお客様が800円のカレーライスを注文したならば、メニューに載っている800円のカレーライスを出せば取引成立となります。

これと同じ話で、要するに設計業務(設計図を作成する業務)とはお客様(施主)が出したオーダー(条件)を如何に期間内・予算通りに実現できるかを計画・提案するものだと言いたいのです。
ちなみにその中でオーダーの中身である設計条件をしっかりと理解しなければお客様(施主)が喜ぶ計画はできません。

ただし、飲食店とは違って建物を作るとなると膨大な材料と人員が必要ですし、何より出来上がるまでに時間とお金がかかります。

よって話が複雑になり、難しくなる。

その複雑で難しい話をできるだけ簡単にまとめるために、お客様(施主)の建物を建てるに至ったストーリー(経緯)を知ることが重要になります。

そのストーリーを知るために打合せ議事録(ヒアリングシート)に目を通した上で、お客様(施主)に直接ヒアリングするのです。

そこで施主の建物に対する想い、建物をどう使いたいのかを聞いた上で、重視するべきポイントを絞って計画を進めます。

少し専門的な話が多くなったので、
ストーリー知ることについて分かりやすいように飲食店に話を戻しましょう(笑)

そもそも800円のカレーを注文したお客様は何故その飲食店に来たのでしょうか。
その経緯について考えてみます。

そのお客様はガイドブックに
「このお店にはまろやかでコクのあるカレーがあります、お値段800円」
と書かれてあるのを見て店に来たならば、それがシンプルなストーリー(経緯)となります。

そこを更に詳しく掘り下げていくと、
そのお客様は今までいろんなカレーを食べていて、ベストな味がなかなか見つからないで悩んでいました。
悩みのポイントは好きな店がA店とB店の2店舗あって、
A店はコクのあるカレー
B店はまろやかなカレー
でもA店とB店を併せたようなカレーはない、
しかもA店とB店はライバル関係にあり、とてもじゃないですが併せたカレーは作ってくれません。
とそんな時、インターネットのレビューに
「このお店はA店とB店を併せたようなカレーですよ」
と書いてあるのを見て、ガイドブックを片手にやってきた。

となればより想いが伝わってきてストーリーっぽく感じてきますよね。

そして先ほど書いた通りお店側はそんなストーリーを知らなくても、ガイドブックに書いてある通り、自分たちが普段作っているカレーを出せば正解ということになります。

ただし、このストーリーを事前に知っていて、A店とB店を併せたお客様の舌を唸らせるカレーにアレンジして出すことができれば、きっとそこから先のストーリーは変わるのではないかと思うのです。

というわけで、こんな形でストーリー(経緯)を知ることでお客様(施主)がどのような経緯で建物を建てようとしていることが理解できれば、より良い計画ができると思いませんか。

最も重視するポイント、設計業務を行うにあたって気を付けなければならない部分はそこから生まれてくるのだと個人的に思います。

重視するポイントはお客様(施主)によって様々です。

シンプルで使いやすい設備がいいと要望される方が多いですが、

セキュリティを重視する方。
映像・音響を重視する方。
料理が趣味で厨房設備を重視する方。
とにかくお風呂が好き、バスルームとそのまわりの環境を重視する方。

など本当に様々です。

このようになぜそのような要望に至ったのか、その想い・根拠を知ることが設計業務を開始する一丁目一番地であると言いたいのです。

そこまでのストーリーが分かれば設計する上で迷うことがあっても軸となる設計根拠がはっきりとして、優先順位をつけることができるようになります。

つまりそこから先のストーリーを組むことができるようになるということです。

目の前に映る事実や結果は大事ですが、そこに至る経緯を知ることでお客様へ提案するのにもより説得力が増すと私は考えています。
ただ一言「これは大事な案件だから」と言われてもピンときませんが、
何故大事なのか、そのストーリーを知れば知るほど納得するし、そこからプロジェクトを成功させるヒントを得ることができるのではないでしょうか。

是非これからはその結果に至ったストーリーを意識してもらえたらと思います。

今回は以上です。

次回は計画の出発点からその先を計画する上で必要な「先を如何に読むか」について書きたいと思います。

今後とも弊社共々宜しくお願い致します。